研究課題
DNA分析技術を導入した効率的な育種システムを構築する上で必要不可欠となるDNA分子マーカーの開発を行った。1. RAPD-SCARマーカーの開発とこれを利用した品種識別法の開発:スギにおいて、さらに24個(昨年度との合計で48個)のRAPD(random amplified polymorphic DNA)フラグメントを選抜し、その塩基配列を決定し、SCAR(sequence characterized amplified regions)化を行った。SCARの欠点を克服するため、一度に多数(9個)のマーカーの分析を可能とするmultiplex-PCR(polymerase chain reaction)における増幅条件について検討を行った。2組(各組9マーカー)のmultiplex-PCRを行うことにより、全18マーカーのDNA型から約26万品種の識別が可能となった。これにより、高い信頼性をもつスギ品種識別システムが確立された。さらに、熱帯早成樹種であるアカシアマンギウムについても同様なシステム開発に着手した。2. 葉緑体DNAにおける種内変異の探索:塩基配列上の1塩基置換を検出するBESS(base excision sequence scanning)T-Scan分析とCFLP(cleavase fragment length polymorphism)分析を導入し、クロマツの葉緑体DNAの種内変異のスクリーニングを行った。その結果、遺伝子間スペーサー領域に変異のあることを確認した。葉緑体DNAは父性遺伝するため、葉緑体DNAマーカーは父親個体の同定に有効であり、今後、大規模なスクリーニングにより、さらに多くの種内変異が検出できる可能性が示された。
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