研究概要 |
[試験溶液の調整] 年次毎にまとめた大気粉塵からのDCMによる有機抽出物について、以下に示す変異原性測定の本試験を行った。 [変異原性試験] Ames test 粉塵抽出物のニトロアレーン代謝酵素欠損株であるTA98NR,TA98/1,8-DNP_β株での変異原性は親株と比べていずれの年についても大幅に減少し、一方同酵素高生産性株であるYG1021,YG1024株での変異原性は親株と比べていずれの年についても大幅に増加したことから、ニトロアレーンが大気中変異原に大きく寄与していることが明らかとなった。 マウスリンパ細胞試験 粉塵抽出物はL5178Y細胞に対して±S9いずれについても濃度依存的に突然変異を誘発した。1975年から2年毎の9試料についての単位濃度当たりの突然変異誘発能は、_+S9の系では経年的に減少し、_-S9の系では年次的に明白な増減の傾向を示さなかった。 in vitro小核試験 粉塵抽出物について細胞に対する50%増殖抑制濃度を指標に小核試験を行った結果、-S9法及び+S9法の双方について小核の誘発が顕著に認められ、その頻度は-S9法での方が+S9法よりも高いことや、1987/1988年以降よりも以前の試料でより高いことが明らかとなった。 新しい欠損株でのAmes test 今までに作成したニトロ還元酵素欠損株(YG7128,YG7132株)及びアセチル転移酵素欠損株(YG7126,YG7130株)を用いて粉塵抽出物について変異原性試験を行った結果、これら菌株での感受性は野生型株と比べて大幅に減少したことから、大気中変異原へのニトロアレーンからの寄与がかなり大きいことが確認された。
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