研究課題
1. 深い溝のグリズム製作法の開発すばる望遠鏡の第一期観測装置の可視用微光天体分光撮像観測装置(FOCAS)、近赤外線ステラコロナグラフ(CIAO)の高分散グリズムはホルダーのサイズ的な制限により、屈折率1.9以上の光学材料に深さ数μmの格子を直接加工する必要がある。FOCAS用グリズムの光学材料としては屈折率が2.2〜2.4でサイズがφ100×100mm3程度の素材が入手できるニオブ酸リチウム(LiNbO3:LN)あるいはZnSeに限られる。特にZnSeは20μmまで透明なので、中間赤外線分光器用の素材としても利用できる。昨年度に引き続き、イオンエッチング装置を用いて新しい回折格子製作方法の開発実験を行った。しかし、いずれの方法でもイオンエッチングでは深さが1μmを越える格子を直接加工することが困難であることが分かった。現在、新しいプラズマエッチング法やレーザー励起化学エッチング法等による溝が深い(1.0μm〜)グリズムの試作準備を行っている。2. 回折格子形状測定装置の開発回折格子形状計測システムはほぼ完成した。現在、このシステムに単色計を組み込んで自動的に回折光率が測定できる追加機能を開発中である。3. グリズムの性能評価CIAO撮像モード用グリズムは基板材料としてフッ素系赤外線透過樹脂(サイトップ;旭硝子製)を使用し、超精密ダイアモンド加工装置に単結晶バイトを取り付けて回折格子の加工を行った。完成したグリズムの回折効率を測定したところ、2.4μm(2次)において約65%、1.6(3次)および1.2μm(4次)において70%という結果が得られた。FOCAS用超低分散と低分散グリズムの評価用サンプルを試作し、回折光率の測定および対物グリズムとして天体のスペクトル観測を行った。効率は直進波長が80%という良好な結果であった。天体のスペクトル観測は現在解析中である。
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