研究概要 |
今年度は、研究代表者および研究分担者のほかに研究協力者三名、計六名が各自のテーマについて研究発表を行った。各自の研究発表は;荒木成子「1475-1550年のフランドル画派(ヘント=ブリュッヘ画派)写本挿絵」、保井亜弓「版画と色彩-16世紀ドイツの多色版画」、沼田英子「メトロポリタン美術館所蔵の一角獣狩のタピスリ-」、田中久美子「写本の制作工程をめぐって-J.J.G.Alexander,Medieval Illuminators and their Methods of Workを中心に」、守山美花「シャルトルのステンドグラス-ノアの場面を中心にお」堤委子「植物図の変遷-写本挿絵から油彩画へ」である。各自の報告をもとに、視覚芸術における「叙述性」という問題を軸として問題点を浮き彫りにしてディスカッションを行った。 研究と平行して、各自、研究に必要な写真資料、文献資料の収集を積極的に行い、その整理・分析を行った。特に、写本、版画など日本ではまだ出版されていない貴重な作品のスライド、マイクロ、・フィルムを充実させた。 10年度は、今年度討議によって浮き彫りになった問題点を参考にして、各自のテーマの研究を引き続き継続して行う。同時に、研究の課題である「叙述性」の問題を深く掘り下げて考察し、地域や美術ジャンルにおける相互関連や特性を明らかにすることを目的とする。あわせて、9年度に行った文献・資料の整理・分析を続行すると同時に、各研究分担者の共有の資料として有効に活用することに重点を置く。
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