研究課題/領域番号 |
09610236
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石井 詩都夫 筑波大学, 学校教育部, 助教授 (60168169)
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研究分担者 |
向出 佳司 PL学園女子短期大学, 助教授 (30280069)
末岡 一伯 北海道教育大学, 教授 (90002633)
柳本 雄次 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (30114143)
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キーワード | 海外帰国子女 / 異文化 / 学校選択 / 進路 / 日本人学校 / 補習校 / 海外生活 / 調査票 |
研究概要 |
帰国子女の海外での学校・社会生活、帰国後の生活状況について、教師、児童生徒、保護者の3者に対する面談により、北海道北部、関東南部、信越、中国、九州南部の地域の実情調査を実施した。 教師は、帰国子女の受け入れに配慮しているほか適切な言語環境におくこと、また、海外では国語や算数(数学)の指導しか受けていなかった児童生徒に対し、特別な教科指導をしている等の詳細な資料を入手することができた。また、帰国子女は、通常の子ども達にとっての異文化に接触し、異文化の環境で育ったのに、自国で初めて生活した環境を自文化と位置付けられるといったギャップ等、様々な問題があり、教師は限定された教育環境の中で指導内容や方法を工夫して彼等の教育にあたっていることが分かった。 保護者の面談からは、都市部に比べて地方では学校選択の自由がないこと、進路に関する悩み、帰国後の日常生活と海外での生活の差が大きいこと等の資料を得ることができた。また、帰国子女達が海外で通学していた学校種が多様であり、特に、正規の教員免許を所持していない教師、また、教職経験がまったくない教師からしか指導を受けられなかった等、海外での日本人学校や補習校に対する不満や改善要求に関わる意見があった。保護者は、子どもを個人という側面からみた場合、海外生活がどんなに乏しい経験であってもそれらは個々人の行動や思考の基準であり、確実に内在化された文化であるのに、日本では異文化として見なされ、個人の行動や意識が拘束されるといった問題が提起された。 教師、児童生徒、保護者の3者に対する調査票の質問項目については、面談の結果をもとにして一部修正を加え、他の研究協力者の意向をも取り入れながら、より有益な調査をすべく準備中である。 次年度は、研究協議会を開催したり、これまでの海外帰国子女教育研究を踏まえながら、いままで取り上げられなかった分野について研究を深めなければならない。短期間での調査研究ではあったが、次年度につながる有益な資料を得ることができた。
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