本研究は、情報開示規制を行っている証券取引法のほか、民法、商法、刑法、税法、独禁法といった法律及び会計学、経済学、社会学の分野を、総合的すなわち学際的・比較的・実証的に検討し、その研究成果を取り入れて情報開示規制の可能性と問題点を明らかにし、新たな発展の可能性を探ることを目的とする。今年度はこの目的に沿って証券取引法、商法のみならず、刑法、税法、銀行法、独禁法、経済学、会計学等との広い分野の文献を収集・分析中である。特に証券取引法、商法、銀行法等は広い意味での情報開示規制法であり、情報開示の面からこれらの法律の研究を行うことは当然であるが、さらに税法も実際上の情報開示規制法としてきわめて重大な影響を与えているためこれについても資料を収集するのみならず詳細な検討を行っている。また法律学の検討ほ他位に情報開示規制を論ずるに際しては、情報開示が影響を与えている経済活動や会計処理の問題を、経済学、会計学等の研究成果を取り入れて研究を行う必要があると思われる。そのため単なる一般のデータの収集、第2次的な文献の収集のみならず、情報開示規制に関する運用、実態の調査のため時間の許す限り情報開示に関する関係者、法曹等に対する面接調査等、あるいは各種の統計資料の収集を行い、広く情報開示に関する実証的な研究を行っている。さらに比較研究としてアメリカ、イギリス、ドイツ等の外国のこれらの分野の研究成果を収集・分析中である。本研究は4年度にわたるもので本年度は2年度目であり、昨年の研究に引き続きこれらの分野の研究を進め、その成果の一部についてはすでに公刊しているが、さらに来年度以降も引き続き研究を深めその成果を順次公表していく予定である。
|