研究概要 |
代数体の岩澤理論は有限次代数体のzp拡大を研究するものであるが,我々はそれをzp-fieldという観点から研究してきた. 具体的には,zp-fieldと代数体の相互法則との関連,楕円曲線論の応用,保型形式とのつながりなどが重要なテーマとなった. そのために,千葉大学や香川大学でexplicit reciprocity lawの研究会を行ったのを始め,夏には合宿形式で楕円曲線とそれから生じるガロア群の表現に関する研究集会を行ったり,京都大学での保型形式の研究集会に参加し研究交流を行ったりした. 夏の研究集会に関しては,参加者用ではあるが簡単なまとめを作成した. また,97年10月の京都大学数理解析研究所での代数的整数論の研究集会においては,「岩澤理論入門」という講演を行い,岩澤理論の概要をまとめると共に,岩澤理論の研究を志す研究者・大学院生に便宜を図った. 講演自体は入門的なものであるが,この機会に岩澤理論全般に関する見直しを行った事は,今後の研究に取ってもいい機会であったと思われる. 岩澤理論の源流にKummerの仕事があるが,そういった古典を研究する事も意義が大きいと考えている. 研究計画にも述べたように,「Kummer研究会」を企画し,kummerの古典的論文を読んで行く作業を始めた. その結果,Kummerのような古典を読むことは現代においても重要である事が確認できた. これらの活動は来年度以降も継続していく予定である.
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