p進体上のarithmeticなMumford curveに付随して考えられるP.Schneiderが示唆したp進L関数があるが、このp進L関数についてのBirchとSwinnerton-Dyerの予想を定式化をすることがこの研究の主目的である。基本的な困難さはこのp進L関数が必ずしもwell-definedとは言えない状況にあることである。適当なQ上の楕円曲線Eに対して、対応するMumford curve X上のweight2の保型形式を考えると、このp進L関数はその保型形式に付随するある微分形式のある種のp進path上の積分としてとらえることができると思われるが、このp進L関数が必ずしもwell-definedとは言えない理由はそのp進pathのなかには(elliptic modular caseの0から√<-1>・∞へのpathのように)standardなものが自明には存在しないことによる。それでもEのQ-rankが0のときには、DrinfeldによるXのJacobianの構成にあらわれるp進周期の公式から、このp進L関数の特殊値とEのTateの周期との間の関係式が得られるので、EのQ-rankが正のときにも何かを期待することができると考えられる。 そこでEのQ-rankが正のときに、p進pathを強引に選択して、Z/p^kZ上でCommon Lispという計算機言語を用いて数値実験をしているが、現在のところ期待される結果にはまだ到達していない。今後もこの方針で数値実験を続けるつもりである。
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