研究概要 |
P進微分方程式の特異点における巾級数解のP進収束半径に対する評価を得た。すなわちX=0を特異点にもつ同次線型微分方程式Y^<(m)>+P_<1(X)>Y^<(m-1)>+・・・+P_<m(X)>Y=0,m≧1とそのX=0における形式的Laurent級数解が与えられたとする。ここでP_1・・・,P_mはP進体上のLaurent級数とする。このとき微分方程式は適当なXの巾を掛けることによって、X^mQ_0(X)Y^<(m)>+X^<m-1>Q_1(X)Y^<(m-1)>+・・・+XQ_<m-1>(X)Y^1+Q_m(X)Y=0かつQ_0・・・Q_mをP進体上のTaylor級数でそのうち少なくとも1つは定数項が0でないように変形できる。 αをP進数とするとき数列(1α-N1p)^<1/n>の下極限が0に等しいときにαをSchikhofの意味でのP進Liouvill数という。 もしも微分方程式のX=0における決定方程式の根がすべてP進Liouville数でないならば、与えられた形式的Laurent級数解は円環0<1X1p<MpA(f)p^<-W(f)>で収束する。ここでμpは微分方程式の係数から定まる0でない数であり、A(f)とW(f)は微分方程式のX=0における決定方程式f(X)=0から定まる数であるA(f)はX=0における決定方程式f(X)=0の根がすべてP進Liouville数でなければ0にならない さらに上の不等式の右辺が最良の評価であることがわかる。例えばX=0を特異点にもつ微分方程式Y^1+(1/X-1)Y=0を考えれば、XY^1+(1-X)Y=0と変形できて、Laurent級数解Y=1/X+1+X/2+X^2/6+X^3/24+・・・をもつことがわかるが、その収束範囲は0<1X1p<P^<-1/(P-1)>であることが知られている。一方X=0における決定方程式がf(X)=X+1=0であることから、μp=1、A(f)=1、Wf=1/(P-1)であり、我々の得た不等式の右辺はP^<-1/(P-1)>となり、上の結果と一致することがわかる。
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