研究概要 |
1.p進線型微分方程式の正則点における中級数解のp進収束半径に対する評価を得た。すなわち微分方程式Y^<(m)>+P_1(x)Y^<(m-1)>+・・・+P_m(x)Y+P_<m+1>(X)=0において,その正則点において係数P_l(x)(1≦l≦m+1)の中級数展開がすべて正の収束半径をもつならば,巾級数解のp進収束半径Rは不等式R≧kp^<-1/(p-1)>を満たす。ただしkは係数P_l(x)(1≦l≦m+1)から定まる負でない数である。 2.二項級数(1+X)^α=1+αx+(α(α-1))/2X^2+(α(α-1)(α-2))/6X^3+・・・のp進収束半径R_αを決定した。すなわち (1)αが0または自然数ならば,R_αは無限大。 (2)αがZpの要素で0でも自然数でもなければ,R_α=1。 (3)αがZpの要素でなく|α|≦1ならば、R_α=p^<w(α)-1/(p-1)>。ここでw(α)はαから定まる実数値である。 (4)|α|>1ならば,R_α=1/(|α|)P^<-1/(p-1)>。 3.p進線型微分方程式の特異点におけるLaurent級数解のp進収束半径に対する評価を得た。すなわち同次線型微分方程式Y^<(m)>+P_1(x)Y^<(m-1)>+・・・+P_m(x)Y=0とその特異点X=0におけるLaurent級数解が与えられたとする。もしも微分方程式のX=0における決定方程式F(X)=0の根がすべてSchikhofの意味でのp進non-Liouville数ならば,与えられたLaurent級数解は円環0<|X|p<μpA(f)P^<-w(f)>で収束する。ここでμpは微分方程式の係数から定まる数であり,A(f)とW(f)は微分方程式のX=0における決定方程式F(X)=0から定まる数である。
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