1. 本年度研究実績 (1) 実験 D吸着Si(100)表面に酸素原子を照射し表面における酸素原子のダイナミクスを調べ酸素誘起D_2及びD_2Oの反応メカニズムを解明した。従来、D_2の脱離メカニズムは主に2つ考えられてきた。1つはP.kratzerが提唱したhomonuclear反応のようなメカニズムで脱離する場合、もう1つはM.C.Flowrsが提唱したisomerization反応のメカニズムで脱離する場合である。我々の実験結果は酸素誘起D_2の脱離はisomization反応を経て起こることを支持している。また、酸素誘起D_2O脱離はホットOD分子を形成し、隣のサイトの吸着D原子と反応しD_2Oを形成して脱離すると推測される。 (2) シミュレーション H吸着Si(100)表面(H-Si-Si-)にHを照射したときの反応(入射エネルギーEi 0.01〜1.0eV)を3体間のLEPSポテンシャルを用いてシミュレーションを行い、更にこれを4体間(H-Si-Si-H)に拡張して行った。その結果95%(Ei=0.4eV以下)〜90%(Ei=0.4eV以上)の確率で入射H原子がH吸着Si(100)表面と反応してH_2分子を生成することがわかった。 2. 今後の研究課題 本年度の実験を踏まえてCO吸着Pt(111)表面に酸素原子を照射し表面における酸素原子のダイナミクスを調べBZ反応の機構の解明を図る。更にLEPSポテンシャルを用いてO+CO/Pt→CO_2+Pt反応のシミュレーションを行う。
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