研究概要 |
本研究では,若い生成年代を有する島孤の火山活動に伴う浅熱水性鉱床の成因と形成過程を解明することを目的とし,フィールドワーク並びに各種室内実験結果を基に,金鉱床の形成プロセスを鉱床学的,地球化学的,岩石学的観点から検討する計画である. 本年度は,ケーススタディとして設定された西南北海道(特に小樽赤岩および手稲金鉱床周辺地域)における既存或は探査中の浅熱水性金鉱床および付近鉱床母岩の熱水変質帯において,主として野外・坑内地質調査および試料採集を実施した.また,調査対象地域に分布する火山岩類について,K-Ar年代・化学組成資料の収集と整理を行い,鉱床母岩および関係火成岩としての火山岩類のキャラクテリゼーションおよび評価を行った.一方,変質帯については,鉱床母岩であるプロピライトおよび酸性・中性変質帯の分布と産状,並びに鉱物共生・全岩組成を明らかにし,関与熱水の化学的諸性質を明らかにするとともに,それら成因的相互関係や鉱化作用との関係を検討した.また,調査および試料収集結果に基づいて,本地域における金鉱床と中性・酸性変質帯,プロピライト等の時間的・空間的分布の概要の把握を行った. さらに,上述の浅熱水性金鉱化作用・中性〜酸性熱水変質作用およびプロピライト化作用に重要な役割を果たした流体(熱水)の特性とその挙動を解明するために,各種鉱物中の流体包有物の均質化温度・塩濃度測定を実施し,XRD・EPMAおよびガス質量分布装置を併用して,鉱物学的・地球化学的観点から今年度の本研究計画を遂行した.初年度に得られた成果を基に,平成10年度の研究計画を継続実施する予定である.
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