包接水和物形成過程をin situで観測するためにin situ high pressure NMRプローブを設計製作した。包接水和物の場合、固体NMR信号を観測する必要があるのでコイルをソレノイド型(横置)にする必要があり空間的および構造上の制限が多数存在する。試験管は圧力導入管と垂直に位置しているので、特殊成型が可能で100気圧程度まで耐えられるジルコニア製のものを特別に製作し、接続部もその圧力まで問題がない構造にした。また、包接化させる場合、系の温度を精度よくコントロールする必要があるので、プローブ内に小さなバッファタンクを設け温度を一定に保った状態でたえず供給する方式を採用した.圧力系統に関しては20気圧程度までは、問題なく作動することを確認した。 測定および温度コントロールは、MSL-200分光計(大阪大学既設)を使用するのでプローブ全体の基本構造(電気回路系、温度コントロール系)はMSL-200付属のプローブと類似のものにした。その性能を調べるための予備実験としてH_2OとXe gasのアモルファス混合物を合成し、これが包接化する過程を常圧下で調べた.X線回折の結果と併せると130Kでアモルファス混合物から立方晶氷が形成し、140K-170Kで包接水和物が生成することがわかった。つまりアモルファス混合物の包接化には、前駆段階として立方晶氷の形成が不可欠であることを確認した。また、温度も精度よくコントロールでき、^<129>XeNMRスペクトルも少し信号強度が弱いながらも観測できることがわかった。 来年度は、電気回路系を工夫し信号感度を向上させると共に、圧力下で水とXe gasから包接水和物が形成される過程を追いかけアモルファスからの過程と比較検討すると共に^<13>Cenriched CH_4/Xe混合ガスについて調べる予定である。
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