1.n型およびp型GaNにおける歪みと電気的特性の評価; 研究室現有の可視光励起顕微ラマン散乱装置を用いて上記の測定を行った。歪み測定では横光学モードピーク周波数測定から、試料について平均して1GPa程度の2次元面内圧縮応力が働いていることがわかった。 電気的性質では、縦光学フォノン-プラズモン結合モードの精密測定を行い、n型GaNのキャリア濃度と移動度が結合モード光周波数分枝プロフィル解析から求められることがわかった。またこれを応用して、キャリア濃度と移動度のエピタキシャル膜面内分布が求められた。また上質な試料では結合モードの低周波数分枝プロフィルが観測されることから、n型GaNが比較的キャリア振動の減衰が小さい系であることがわかった。p型GaNについても同様の測定を行い、n型と対称的にキャリア振動の減衰が大変大きい系であることがわかった。この場合、結合モード解析からキャリア濃度を求めるのは難しく、むしろ低周波数領域に現れる連続電子帯の強度に着目した方が良いことがわかった。 2.三元系InGaN、AlGaN試料の混晶比と歪みの評価; 歪み評価については上記の2元系ラマン測定手法が有効であることがわかった。混晶比についても混晶フォノンモードの周波数測定から評価可能の見通しを得た。ただし現実のデバイス測定に応用するには混晶層は通常極めて薄く、微弱な信号検出を行う必要があり、現在この観点から検出感度限界を調べている。 3.紫外・可視励起顕微変調反射・ラマン散乱測定システムの立ち上げ; 研究室現有の顕微鏡装置について紫外励起仕様への改造を行った。主要な改造ポイントは励起レーザー光導入部とラマン散乱光の分光器への集光部である。 現在装置の変調反射・ラマン散乱測定上の基礎的性能評価を進めている。
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