1) リチウムは水素と同じ様にシリコンのダングリング・ボンドに吸着する。 吸着サイトとしてダブルレイヤーモデルが提唱されている他のアルカリ金属と異なり、LiはIMLまでは(Si(100)のダングリングボンドに吸着することが解かった。Liの吸着量がIMLを越えてから2MLにかけて、Li.Siの相互拡散が生じる。更にLiの吸着量が3MLを越えると、最外表面は金属状態のLiになる。Si(100)上に3ML以上のLiが吸着した状態で試料を昇温すると、300℃まではLi、Siの相互拡散が活発になる為、金属状態のLiはなくなり、ほとんどのLiはシリサイドを形成するが、ダングリングボンドに吸着したLiの結合状態は変化しない。更に、300℃〜400℃の昇温過程によりLiシリサイドのLiは脱離する。 2) リチウムを多層付けると、シリサイドを形成する。 3) 重水素で終端したシリコン表面にリチウムを吸着させると、リチウムは重水素に置き替わりシリコンとの結合が切れた重水素はリチウムと結合し重水素化リチウムを形成し、これがMDSで明瞭に観察される。 4) リチウムと重水素の結合はTDSでも明瞭に観察された。
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