研究概要 |
アジャイル・マニュファクチャリングは,多様化,個性化する製品に対する顧客の要求に迅速に応えるための次世代の生産体制を規定する新しい概念として注目されている.本研究では,アジャイル生産に適合した大容量生産システムについて,自動車産業における量産設備の代替,補完性に焦点を絞り研究を進める.特に,そのシステム構成ばかりでなく,運用法についても検討し,その特性を明らかにする.さらに,従来型の他の生産システムとの経済性についても比較検討し,その有用性について考える. システムの設計・運用技術確立のために,下記のような課題について研究し,成果を得た. 1.変種変量生産機能としてのアジャイル性に関する考察を行い,開発目標を設定した.従来の大量生産に代わって総生産生能力はほぼ同等でありながら生産可能品種は柔軟に変えることのできる変種変量生産が必要であることから,総生産能力としては月産30,000個程度のシステムを目標として考え,月産10,000個程度のFTL3ラインを比較の対象とする.品種数は一時期では10品種程度とし,派生品種を随時考えることとする. 2.高速マシニングセンターを要素機械とする高速・大容量FMS(High Velocity-High Volume Flexible Manufacturing System,HV-FMS)として,同一の加工機能を備えた機械を並置したグループを考え,それを直列型に配置する.その間の搬送はAGVによる.このようなシステムのシミュレーションシステムを構築し,基本構成並びに運用法について性能評価を行うための環境を整備し,システム構成に関する基礎的な検討を行った. 3.HV-FMSの効率的な運用のために,まずAGV,パレットなどの運用法について検討した.現在,自律分散的な運用法の適用について検討を進めている.
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