研究概要 |
アジャイル・マニュファクチャリングは,多様化,個性化する製品に対する顧客の要求に迅速に応えるための次世代の生産体制を規定する新しい概念として注目されている.本研究では,アジャイル生産に適合した大容量生産システムについて,自動車産業における量産設備の代替,補完性に焦点を絞り研究を進めた.特に,そのシステム構成ばかりでなく,運用法についても検討し,その特性を明らかにした.さらに,従来型の他の生産システムとの経済性についても比較検討し,その有用性について考察した. 平成9年度,平成10年度の研究成果は以下の通りである. 1. 変種変量生産機能としてのアジャイル性について考察し,それに適合するシステムとして高速・大容量FMSを開発目標と設定した. 2. 高速・大容量FMSのシステム構造として機械群の並列・直列型配置を提案した. さらに,その性能評価のためにシミュレーションシステムを構築した. 3. 変種変量生産システムとしてHV-FMSとFTLを取り上げ経済性評価モデルを構築し,シミュレーションシステムを高機能化した.さらに,長期にわたる需要変動シナリオを想定し、それらに対するHV-FMSとFTLの経済性評価を実施し,HV-FMSの経済的優位性を明らかにした. 4. HV-FMSの効率的運用法に関する基礎的検討を行い,オークション法に基づく自律分散的運用法の導入について検討した.シミュレーション的に検討・考察を試み,その有効性を明らかにするとともに,さらに徹底した導入の検討が必要であることを示した.
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