研究概要 |
音響共鳴冷凍機の熱輸送特性はスタック近傍の振動境界層における伝熱機構によって支配される.昨年度は振動境界層に大きく関与して熱輸送を場合によっては加速し,場合によっては妨げとなる音響流について検討した.本年度はまず第1の課題としてスタックの熱容量をも加味した数値シミュレーションを行い,振幅,周波数,さらには熱容量と振動境界層での伝熱の関係について調べた.その結果音響冷凍機でのスタックの熱伝達は基本的にはスターリング冷凍機における再生器の伝熱機構と同様であること,熱容量の大きさが小さすぎたり,大き過ぎたりすると温度分布はかなりひずんだものになることが明らかとなった.第2の課題として積極的に熱輸送を促進するためにはこの振動境界層を何らかの方法で制御することが考えられる.そこでスタックの温度分布,前後の圧力変動のみならず,スタック前後に熱戦流速計を設置して速度変動位相を測定するとともに,位相制御を行うために駆動側と共鳴管閉止端をバイパスして上記パラメータの測定を行った.単純にバイパスした場合には速度変動の位相がスタック前後で顕著に変化し,結果として温度勾配が小さく,性能が低下することがわかった.一方,バイパス管路に位相を変化させる目的で共鳴箱を設置した場合には速度位相が前述とは逆の方向に変化し.スタックにおける温度勾配が大きくなり,今後の音響冷凍機性能改善の方法としてかなり有効な手段になることがわかった.
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