近年インターネットが爆発的に進展してきたことに伴い、世界主要各国で、ベスト・エフォート・サービス型情報通信ネットワークが導入されてきている。しかしながら、この種の情報通信ネットワークの特性については従来十分な研究がなく、その効果的な運用管理技法の確立は重要な課題である。 このような背景から、昨年度は、主としてベスト・エフォート・サービス型情報通信ネットワークの特性、ネットワーク利用者の振る舞いなどの調査研究を行い、ネットワーク利用者と提供者の連携を前提とした分散協調型ネットワーク運用・管理メカニズムを提唱した。 本年度は、分散協調型ネットワーク運用・管理メカニズムの検討を深化させるとともに、現在稼動している学内ネットワークを対象として、分散協調型ネットワーク運用・管理メカニズムの管理・運営を行う知的エージェントの実装を検討した。具体的には学内LANを構成しているホスト・コンピュータ、リンク、ルータなどのネットワーク管理要素をオブジェクトまたは静的なエージェントとして定義し、それらの振る舞いを管理する仕組みを検討した。各静的エージェントは、使用可能帯域幅、トラヒック、パケット損失率などのネットワーク運用・管理情報を保有し、モバイル・エージェントに提供する。 これらの仕組みを実行する知的エージェントをJava言語により実装することにより、対象ネットワークの状況を効率的に把握し、ネットワーク・リソースを効果的に制御可能であることを実証した。
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