研究概要 |
名古屋市の小学校区別生活環境指標をデータとした因子分析により地区分類を行い、都心商業地区、都心近傍住居地区、工業・住居混在地区、郊外住居専用地区、郊外農業地区の5類型を得た。各類型から調査地区を選定し、次の4種類の住民意識調査を行い、以下の知見を得た。 (1),『迷惑に関する自由記述調査』:住民が「どのようなことを迷惑と感じているか」を自由に記述する形式の調査を行ったところ、「路上駐車」、「押し売り販売」、「犬猫の糞害」、「暴走族の騒音」が4大迷惑であり、地区間の差違は余り見られないが、住宅の種類により迷惑感に差があることが分かった。 (2),『迷惑に関する意識調査』:公害・苦情などの迷惑項目を46項目提示し、各項目について迷惑体験ならびに迷惑情報(新聞・テレビなどからの知識)の有無をたずねたところ、地区に関係なく高い迷惑項目にあげられたものは「犬猫の糞害」、「空缶・タバコのポイ捨て」、「路上駐車」であり、地区ごとで差違が大きな迷惑項目は工場地区での「水質汚濁」、「大気汚染」、都市地区での「ピンクチラシの配布」、住宅地区での「日照障害」などであった。また、迷惑体験率の平均は約40%であり、迷惑情報率の平均は約60%であった。 (3),『設置・空間の有効性に関するアンケート』:自宅周辺ならびに名古屋市全域を想定し、「シンボル」、「無駄な」、「迷惑な」、「あったら良い」設置・空間をたずねたところ、迷惑な施設の回答率は名古屋市全域では33%、自宅周辺では31%であった。自宅周辺での施設の評価では、「パチンコ店」が無駄で迷惑な施設の筆頭にあげられ、一方通行の道路ならびに駐車施設のない店舗など違法路上駐車の原因となる施設に対する問題点が指摘された。 (4)『迷惑施設に関する意識調査』:88種類の都市施設に対する迷惑体験ならびに迷惑情報の有無をたずねたところ、迷惑体験型の施設としては「バスターミナル」、「飲食店」など交通混雑や違法駐車に起因する施設を筆頭に12施設が特定化できた。さらに、迷惑情報型の施設として、「産業廃棄物処理場」など16施設を特定化した。
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