研究概要 |
1.(Fe,Ni)-Cr-C系合金の硬さ測定 本合金系でCr及びC量をそれぞれ15%及び2%一定とし,Ni量を0〜70%の範囲に変化させて耐熱性を改善した合金について常温及び高温の硬さ試験を行った.常温硬さはNi量が30%まではNi量の増加とともに上昇し最大硬さ600HVとなるが,それ以上増加すると低下し50%Niで500HV、470%Niで300HVとなった.Niの代わりにCoを添加し同様に変化させ合金では,Co量の全範囲で高い硬さが得られ,20%Coで750HV,40%Coで900HVとCo量の増加とともに上昇し,さらに増大すると漸次減少して70%Coの400HVまで低下した.つぎに,本合金系でNi量を25%一定とし,Cr量を11%から25%まで変化させた合金の室温から1100Cまでの硬さを調査した結果,硬さが急激に低下する変曲点(温度)が2点現われ,第1変曲点はCr量の増加とともに低くなるが,第2変曲点はCr量の増加に対して一定か若干上昇した。各温度での硬さは,800CまではCr量の多い方が高く900以上になるとCr量による差は極めてちいさくなった。 2.(Fe,Ni)-Cr-C系合金の耐酸化性の調査 Ni量を25%一定とし,Cr量を10〜30%の範囲に変化させ,各Cr量で共晶組織になるようC量を調整した合金について耐熱性の指標としての酸化試験を大気中1100Cで行った.その結果,10%Cr合金の酸化量がもっとも多いが,比較のために用いた17%Cr鋳鉄よりは少なかった.Cr量を15%に増加すると酸化量は大幅に減少して耐酸化性が改善されるが,それ以上Cr量を増しても耐酸化性の著しい向上は見られなかった.そこでFe-25%Ni-15%Cr-C系合金で亜共晶,共晶及び過共晶組成にC量を調整した合金について酸化試験を行った結果,共晶合金の耐酸化性がもっとも大きいことが明らかになった.
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