研究課題/領域番号 |
09650817
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金属生産工学
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研究機関 | 久留米工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松原 安宏 久留米工業高等専門学校, 材料工学科, 教授 (20044258)
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研究分担者 |
本田 義興 久留米工業高等専門学校, 材料工学科, 助教授 (10044281)
笹栗 信也 久留米工業高等専門学校, 材料工学科, 助教授 (50215737)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 耐熱性 / 耐酸化性 / 耐摩耗性 / 凝固過程 / M_7C_3 / Ni_3Al / Fe-Ni-Cr-C合金 / Ni-Cr-Al-C合金 / Ni-Cr-Al-C alloy |
研究概要 |
本研究の目的は、耐アプレージョン摩耗材料である高Cr鋳鉄(Fe-Cr-C合金)に関する豊富な研究実績と知られている超合金の性質をもとに、新しい耐熱・耐摩耗材料を研究開発することである。耐熱性を付与するために、Fe-Cr-C合金のFeを25%、50%、70%Niで置換したFe-Ni-Cr-C系合金及び100%置換したNi-Cr-C合金について、凝固組織、凝固過程及び高温特性について調査した。 Fe-Ni-Cr-C系及びNi-Cr-C系合金では、耐摩耗を支える晶出相はX線回折及びEDS分析によりそれぞれCr系のM_7C_3及びCr_7C_3炭化物であり、基地はNi量の増加とともにオーステナイト(γ)が安定化する。また各Cr量で、共晶点のC量はNi量が50%までは低C側へ移行するが、それ以上に増加すると逆に高C側へ戻る。Ni量の増加は黒鉛の晶出を助長するので、CrとCの組合せで黒鉛晶出を制御しなければならない。Ni量の増加によるγ量の増大に起因して起こる硬さの低下を改善するため、Niと金属間化合物を形成するAlを添加したNi-Cr-Al-C系合金では、Cr_7C_3炭化物の他にNi_3Al化合物が共存する。また、Ni_3Al形成以外のAlは基地中にほとんど固溶してマトリックス硬度を上昇させるため、高いマクロ硬さを有する合金が得られ、強度及び耐摩耗性の向上が期待される。 Fe-Ni-Cr-C系合金の凝固過程は、亜共晶合金ではL→初晶γ→(γ+M_7C_3)共晶、過共晶合金ではL→初晶M_7C_3→(γ+M_7C_3)共晶となる。 Fe-Ni-Cr-C系合金の高温特性としての耐酸化性は共晶合金がもっともよく、過共晶、亜共晶合金の順となる。Ni量が一定のもとでは、Cr量の増加とともに耐酸化性は向上するが、30%Cr以上での向上は小さい。 以上の研究成果から、本系合金は使用場所を選べば高温耐アプレージョン摩耗部材への実用化が可能と考えられる。
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