研究概要 |
パラジウムトリフラートと2当量の2座ホスフィン配位子(R_2P(CH_2)_nPR_2:n=1,2,3)または2座ピリジン配位子(bipy;phen)との反応により、カチオン性パラジウムトリフラート錯体(L_2Pd^<2+>(OTf^-)_2))を高収率で合成することができた。4当量の1座ホスフィン配位子(R_3P)との反応では、反応溶媒であるアセトニトリルが共に配位したカチオン錯体(L_<4-n>(CH_3CN)_nPd^<2+>(OTf^-)_2))が得られた。この時の生成物の構造は、リン原子上の置換基(R)によって異なった。トリn-ブチルホスフィンでは4個配位したものが、トリt-ブチルホスフィンおよびトリフェニルホスフィンでは3個配位したものが、またトリi-プロピルホスフィンおよびトリシクロヘキシルホスフィンではホスフィンが2個しか配位しない錯体のみが得られた。得られたトリス(トリフェニルホスフィン)アセトニトリルパラジウム(2_+)錯体は、アセトニトリル中で^<31>P NMRを測定することによって、配位子の解離に基づく動的な平衡状態にあることを見出した。以上の結果について、第45回有機金属討論会(1998年東京)にて発表した。 2座ホスフィン配位子を有する錯体は、アルケンの二酸化イオウと水素によるヒドロスルホニル化反応、およびシクロペンタジエンの重合反応において触媒活性を示すことを見出した。ヒドロシランと二酸化イオウを用いるヒドロシラスルホニル化反応によるアルカンスルフィン酸シリルエステルの合成反応の条件を検討中である。カンファースルホン酸から光学活性アルカンスルフィン酸シリルエステルを別途合成し、安定性を確認中である。
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