研究概要 |
昨年に引き続き、表面(地面)効果内で安定性に優れたS字キャンバーを持つ有限厚さの2次元翼のコンピュータ・シミュレーションを実施した。 この結果は、1998年6月にシドニーで開催された国際ワークショップと日本造船学会誌に発表した。 得られた主要結果は以下の通りである。 1) 有限体積法を平均流+乱流モデル方程式に用いることによって高レイノルズ数(2×10^5)の数値シミュレーションが実行できた。 2) NACA0012,NACA6409および上面Munk6+下面CJ-5のS字キャンバー翼の3種の翼型の比較を行った。 3) 最大揚力係数はNACA6409が最も高い。 4) 静的安定性指標はS字翼が最も安定である。 5) 総合的にみて、表面効果翼艇に使用するには、S字翼が最も好ましい。 6) 後縁高さが3%翼弦長の場合にも、翼上面負圧の揚力に対する寄与は大きく、低高度漸近理論の現実への応用範囲が極めて限られていることが判った。 7) 翼下表面の圧力分布は、実質的に翼弦長の3倍程度におさまっており、圧力勾配もなだらかであって水面造波の効果が少ないことが再確認された。 8) 表面効果翼においては、航空機翼よりも翼下面の局所的形状が翼特性に及ぼす影響が強いことが示唆された。
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