マンシュウマメナシ1年生実生を1、10、15及び20℃の定温庫中に0、800、1400時間置き、十分に低温遭遇(Chill unit 1400)した'二十世紀'1年枝を接ぎ木した。接ぎ木30日後に萌芽率、新梢及び新根の乾物重を測定した。1℃並びに5℃区では処理時間が長くなるほど加温後の萌芽率、新梢並びに新根重が高くなり、1400時間後には両区が最も旺盛な生長を示した。10℃区においても処理時間の増加に伴い萌芽率、新梢及びに新根重が高くなったが、明らかに1℃並びに5℃区より生長が劣っていた。一方、15℃並びに20℃区では時間経過に関わらず、根の活発な生長はみられず、また萌芽率、新梢生長についても実験期間中大きな変化はみられなかった。従って、少なくとも10℃以下の温度に遭遇することが活発な根並びに地上部の再生長に必要なものと思われた。 マメナシ1年生実生をChill unit 500及び1000の時期に堀りあげ、高温(45℃X2及び4時間)処理並びに石灰窒素0.02、0.2、及び2%上澄み液への浸せき処理(12時間)を行い、ガラス温室中で砂土を用いて鉢植えした。これらにChill unit 1400の低温に遭遇した'二十世紀'1年枝を接ぎ木した。接ぎ木30日後に萌芽率、新梢及び新根の乾物重を測定した。Chill unit 500及び1000の両区とも高温処理区が最も根並びに新梢生長とも優れており、石灰窒素の高濃度区では生長がむしろ抑制された。しかしChill unit 500の各処理区の樹体生長は明らかにChill unit 1000のそれらより劣っていた。従って、芽と同様に根においても再生長の開始に必要な低温の一部は高温に短時間遭遇することで代償されるものと思われた。
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