研究概要 |
本年度の研究は風致間伐の対象地を予備的に検討するとともに,事例的に風致間伐対象地の森林構造の実態を調査し,人工林の成立過程と以降の森林遷移の推定を根拠として時系列的な間伐の実行を考察した。また,風致間伐の必要とされる条件と風致間伐の目標となる高齢林及び長期的な森林施業のもとでの森林に関して予備的な調査を行った。 風致間伐の対象地としては,多様な林齢の森林が見られ,また,間伐を実行する可能性がある点で,手良沢山演習林のヒノキ林,駒ヶ根市の養命酒工場のアカマツ構内林,南箕輪村の大芝村有林のアカマツ-ヒノキ林を選定している。また,木曽赤沢のヒノキ林などの文献的な検討を行った。 事例地として取りあげたのは,駒ヶ根市池山のカラマツ林とアカマツ林及び伊那市の経ヶ岳植物園の数種の森林である。これらの事例地の調査と地図と航空写真の読みとりから森林の変遷が明らかになり,人工林の間伐の遅れによる衰退と自然林回復の方向を考察した。 風致間伐が必要となる条件をもった森林として松島のアカマツ林について聞き取り調査を行った。松枯れ病への対処とともにアカマツの更新の方策が問題であった。風致間伐の目標となる高齢林として吉野林業地帯における高齢スギ林の森林構造の調査及び育成方法の聞き取り調査を行った。樹高50mにおよぶスギ林の密度はha当たり100本程度であることが見られた。長期的な森林施業の実施地として群馬県小根山森林公園のスギ間伐林などの調査を行った。密度と配置,生育状態との関係を見ることができた。
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