本年度は二ケ年継続の初年度で、当初の計画通りどの酵素がケンサキイカのアイソザイム分析に利用できるかの検討を行った。 電気泳動には、ゲルの作成が容易で、一枚のゲルを何枚にもスライスして何種類かの酵素の染色ができ、分析精度も低くはない水平平板式デンプンゲル電気泳動法を用いた。粗酵素液の抽出には解凍ドリップ法を用い、主に口球から抽出した。電気泳動には主にトリス-クエン酸緩衝液を使用したが、発色はするもののバンドの分離が悪い幾つかの酵素については、不連続系緩衝液も併用した。 ADHほか25の酵素について泳動し染色を試みた結果、23酵素で活性が認められた。そのうち10酵素は活性が低いかあるいはバンドの収斂が悪かったが、13酵素は活性が高く、バンドも比較的明瞭であった。このうち遺伝解釈ができたのは11酵素であった。2酵素、LDHとGPIは像が複雑であったので遺伝解釈を見送った。遺伝解釈を行った11酵素で、合計16遺伝子座30対立遺伝子が推定された。その内訳は次の通り:G3PDH(1遺伝子座、1遺伝子)、MDH(3座、8対立遺伝子)、IDHP(1、1)、PGDH(1、2)、DIA(1、2)、SOD(1、1)、AAT(2、4)、AK(2、3)、ALP(1、3)、MPI(2、2)、PGM(1、3)。 次年度(最終年度)は、本年度の結果を踏まえて、ケンサキイカの二型の遺伝解析を行う。
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