研究概要 |
家畜の妊娠診断において、材料採取が容易な糞や乳汁に注目し、それらに含有されるestrogen代謝産物であるestrone sulphateを測定し、早期の妊娠診断法を検討した。 測定では、従来のRIA法に比べ、安全であるEIA法に注目し、測定系の確立を目指した。まず、96ウェルのマイクロプレートに抗原としてEstron-BSA Conjugateを吸着固相化させ、24時間後、マウスモノクローナル抗体(AgResearch,NZ)を第一抗体として加えた。その後、抗マウスIgG-HRPを第二抗体として添加後、発色基質を加え、プレートリーダーで吸光度を測定した。第一抗体の希釈率は、吸光度が0.5〜1.0の範囲の中で、より高い感度を示した1/20,000倍を用いた。 標準曲線では、抗原1μg/eell、第一抗体1/20,000倍、第二抗体1/1,000倍で良好な曲線が得られ、測定感度は5pg/wellであった。 実際の糞サンプルの測定では、馬の糞1gを10mlのメタノールで撹拌し、その1〜10μlの抽出液について、測定した。その結果、非妊娠馬および妊娠初期4ヵ月頃までは、50ng/g前後で、その後増加し、非妊娠馬と比べ有意に高い濃度を示した。 今回、EIA法による高感度なestrone sulphateの測定系を確立し、糞や乳汁中のestronesulphateの測定が可能となった。
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