研究概要 |
本年度の研究は鼻腔リンパ腫(NL)および膿胸関連リンパ腫(PAL)を主な対象とした。NLについては(1)全国の50施設の協力を得てNLの発生の経時的変動を調べたところ、微減傾向を示した。韓国の延世大学では著しい減少傾向を示しており、その原因についての詳細な調査の必要性を示した。(2)NLの免疫学的性状に関しては従来より種々の意見があり、未定であった。免疫組織学、遺伝子再構成を用いたクローン性の検討を組み合わせることにより、本腫瘍はNK細胞性であることを確定した。PALは免疫不全のない患者に発生するにもかかわらず、CTLに認識される潜伏感染遺伝子(LMP-1,EBNA2)を発現している。従ってPAL細胞のCTLからの逸脱機構が問題となる。EBNA4のCTLエピトープ領域の核酸配列を6例のPAL例について末梢血およびPAL組織中のEBVゲノムについて比較したところ、5例において相違がみられた。このことはEBV感染Bリンパ球のうち、CTLの監視から逸脱するものの中からリンパ腫(PAL)が発生してくることを示唆している。
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