研究概要 |
1.in vitroの研究成果 (1)ヒト胃癌培養細胞株に5%エタノールを添加すると種々の程度にアポトーシスが、10%ではネクローシスが誘発された。アポトーシス誘発系では添加後、1時間からc-myc遺伝子の発現が低下した。この時カルモジュリン阻害剤を投与してもアポトーシス誘導に変化はなかった。 (2)胃癌、大腸癌培養細胞株では種々の程度にFAS抗原が発現していた。抗FAS抗体誘発アポトーシスは胃癌ではp53遺伝子とは関係なく、他方、大腸癌では野生型p53遺伝子を有するLoVoのみでアポトーシスが誘発された。アデノウイルスベクターを用いて野生型p53遺伝子を導入するとFAS抗原の発現が亢進した。 (3)胃癌培養細胞株を46℃、30分間培養するとアポトーシスが、60分間培養するとネツロ-シスが誘導された。アポトーシス誘発系ではp53蛋白の発現が亢進した。 (4)アデノウイルス-p53遺伝子を導入すると、ベクター数に比例してp53蛋白の発現が亢進した。50MOIを導入すると、胃癌ではMKN-1のみアポトーシスが誘発され、その他6株では細胞周期停止が生じた。この時、BAX,Bcl-2蛋白の発現に差はなかった。 2.in vivoの研究成果 (1)長径5mm以下の微小胃癌26例、早期胃癌29例、進行癌33例のアポトーシス・インデックス(AI)と増殖活性細胞(KI)を比較すると、AIに差はなかったが、KIは有意差をもって進行胃癌で高かった。アポトーシスは胃癌の初期から生じていることが示された。 (2)大腸癌の術前に5FU座薬を投与すると、大腸癌細胞のアポトーシスが数的に増加した。非癌部粘膜では腺底部にアポトーシス細胞が散見された。
|