目的:神経性食欲不振症(AN)の制限型(AN-R)と無茶食い/排出型(AN-BP)の病態から観た難治化要因を明らかにすること。 方法:当科に入院したAN患者232例(AN-R:136例、AN-BP:96例)について、(1)発症前因子として家庭背景(不和、両親の離婚、Broken family)社会適応、(2)入院前因子としては<年令、罹病期間、精神科受診歴、過去の受診医療機関数、(3)入院後因子としてBMI、退院後BMI、無断離院、治療中断、入院期間を調べ、2群についてX^2検定及びMann-whitnyのp検定を行った。 結果:発症前因子では、AN- BPがAN- Rより社会適応が不良(p=0.0187)、家庭不和(p=0.0343)の割合が多かった。入院前因子ではAN- BPがAN- Rより罹病期間が長く(p<0.0001)、精神科受診歴が多く(p=0.0002)、過去の治療中の無断離院(p=0.009)、治療の脱落(p=0.0349)が多かった。 結論:AN-BPとAN-Rでは病態に明らかな相違があった。AN-BPはAN-Rに比べて、家庭背景に問題があり、社会不適応を起こしている割合が高く、経過が長くなり、病態の複雑化が推測された。またAN-BPはAN-Rより治療脱落、無断離院が多く、治療の困難さが明らかになった。AN-BP型では早期治療の徹底の必要性が示唆される。
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