研究課題/領域番号 |
09670501
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
永田 頌史 産業医科大学, 産業生体科学研究所, 教授 (10108722)
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研究分担者 |
前田 正信 産業医科大学, 産業生体科学研究所, 助教授 (80181593)
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キーワード | 気道反応 / 条件づけ / ヒスタミン遊離 / Fos蛋白 / 気管支肺胞洗浄液 / 好酸球 / 視床下部 / マイクロインジェクション |
研究概要 |
著者らは前視床下部破壊(AHL)モルモットやラット即時型および遅発型の気道アレルギー反応が抑制されることや、条件づけによるヒスタミン遊離(learned histamine release)などについて報告してきたが、これらの反応をより厳密な方法を用いて脳内機序を調べるのが本研究の目的で、次の3つの実験を行っている。 1)今回は、神経細胞破壊を電気的凝固法ではなく、神経細胞のみを破壊して神経線維は障害しない0.3%カイニン酸50nlをマイクロインジェクション法で前視床下部に隣接したMedial preoptic area(MPO)部に注入する方法で行った。BNラットはMPO破壊群と偽手術群、視床下部外側破壊群(LHL)群の3群に分け、百日咳ワクチンと卵白アルブミン(OA)で感作し、14日目にOA液吸入を行い17時間後に気管支肺胞洗浄液(BAL)の採取、肺組織の摘出を行い、組織標本の作成を行った。 BAL中の好酸球の比率は、MPO群が最も低く偽手術群、LHL群との間に有意差が認められた。しかし、偽手術群とAHL群の間には有意差は認められなかった。BAL中の肺胞マクロファージの比率は逆の傾向を示した。肺組織中の好酸球浸潤もAHL群で最も少なく、他の2群との間に有意差が認められた。これらのことは、今回用いたマイクロインジェクション法によるMPO破壊によっても、気道アレルギー反応が抑制されることを示唆している。 2)現在、MPO破壊群、偽手術群で、術後1週目の脳を摘出して視床下部室傍核(PVH)、扁桃体などのFos蛋白の発現を調べているが、MPO破壊群ではPVHの神経細胞にFos蛋白の発現が多くみられている。 条件づけによるヒスタミン遊離の脳内機序に関する研究は現在進行中である。
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