我々の研究目標は、樹立した単クローン抗体生産株より、免疫グロブリン、特にV領域をコードするcDNAを単離し、更にそのcDNAをB細胞以外でも分泌型とするよう一部構造をおきかえ、最終的には類天疱瘡抗原を特異的に認識し、かつ類天疱瘡抗原の接着機能を特異的に機能阻止する抗体を発現するトランスジェニックマウスを作製することにある。平成9年度にあっては、クローニングと、機能確認を目的とした。この目的にそって、すでに得られている抗類天疱瘡抗原単クローン抗体生産株よりRNAを精製し、更にこのRNAを鋳型として、i)オリコd(t)をプライマーとして用いたcDNAライブラリー、ii)ラットV領域の5プライムと3プライムの比較的保存された領域を各々フォーワード、リバースプライマーとして用いたPCR反応ライブラリーを作製し、これらから特異的免疫グロブリンcDNAを単離した。この結果、両方のライブラリーからそれぞれ独立したクローンを得たので、可変領域特異的ライブラリーより得たクローンから解析に着手した。この結果、我々の作製した単クローン性免疫グロブリン可変領域の構造解析に関しては、塩基配列を決定することにより、その一次構造を明らかにすることに成功した。したがって、BP180にたいして、病因として働き得る抗体の特異性を、遺伝情報のレベルで明らかにできた。この結果、我々の作製した単クローン性免疫グロブリンは、一次構造のレベルで解析が可能となり、この情報を実験基盤として、次年度に予定されている、人工免疫グロブリンの作製と、その機能の検定、そしてトランスジェニックマウスの作製と研究を継続する。
|