研究課題/領域番号 |
09670943
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
奥村 寛 長崎大学, 医学部, 教授 (00073130)
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研究分担者 |
井原 誠 長崎大学, 医学部, 助手 (60175213)
岡市 協生 長崎大学, 医学部, 助教授 (80124874)
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キーワード | scid細胞 / 放射線感受性 / 重粒子線 / DNA二重鎖切断 / DNA-PK活性 |
研究概要 |
細胞はscid細胞及びscidハイブリッド細胞を用いた。scidハイブリッド細胞はscid細胞にヒト8番染色体を導入したもので、scid欠損遺伝子(DNA-PK)が回復したものである。 X線に対するscid細胞及びscidハイブリッド細胞の放射線感受性(Do)は0.74Gy及び1.2Gyであった。scid細胞のX線感受性が高いことは、scid細胞がDNA-PK活性を欠損しているため、X線照射によって誘発されたDNA二本鎖切断の再結合能力が不完全であると考えられる。DNA-PKは熱処理によって失活しやすい。DNA-PKの構成因子であるDNA-PKcsは熱抵抗性質であるが、KU70/KU80は熱感受性であった。 X線10Gy照射後のDNA二本鎖切断の再結合動態をみるとscid細胞は遅い結合しかしないが、sicdハイブリッド細胞は早い再結合と遅い再結合があることがわかった。早い再結合はDNA-PK活性が関与する再結合であると言える。 重粒子放射線(炭素線、290MrV/u)照射によるscid細胞及びscidハイブリッド細胞の放射線感受性(Do)はそれぞれ0.57Gyと0.82Gyであった。X線感受性と比較したscid細胞とsicdハイブリッド細胞のRBEは、1.30と1.47であった。DNA-PK活性によって修復することのできるDNA障害に関する感受性(Do)は、X線照射について1.92Gy、重粒子線照射について1.89Gyであり、RBEは1.02であった。以上のことから、これら2種類の細胞のいずれもが修復できないDNA障害のRBEは1.30であり、DNA-PK活性によって修復できるDNA障害のRBEは1.02であった。
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