研究分担者 |
諏訪 和宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (60187820)
岸 和史 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (70254547)
寺田 正樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (80188680)
武内 泰造 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (10326374)
白井 信太郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (00192120)
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研究概要 |
経皮的エタノール注入療法(Percutaneous Ethanol Injection Therapy:PEIT)が広く行われているが文献的にPEITの適応は腫瘍径3cm以下,腫瘍数3個以内とされている. 本研究により温熱エタノール注入が室温エタノール注入と比べて広範な肝壊死を得ることを明らかにしてきた.本年度はエタノールより浸透性を有する酢酸を加温注入する経皮的加温酢酸注入療法を考案し,その安全性と壊死体積について,ラット肝を用いて基礎的に検討し,以下の結果を得た. 1.酢酸濃度の上昇と共に有意な壊死体積の増加をみたが10%,20%,30%,50%酢酸のラット肝注入後,mortality rateは各々0%,0%,20%,40%であった.10%,20%酢酸では100℃の加温注入を行っても,mortality rateは0%であった. 2.加温生食水群,加温エタノール群,加温酢酸群ともにラット肝に注入する温度が60℃以上になるとその温度上昇に伴い組織壊死体積が有意に増加した.エタノールおよび酢酸では注入温度の上昇に伴い,壊死巣内部に組織融解,出血が強くみられた. 3.10%酢酸100℃注入後の壊死体積は,室温10%酢酸のそれの6.5倍,20%酢酸100℃注入後の壊死体積は,室温20%酢酸のそれの4.2倍であった. 4.10%,100℃酢酸注入後の肝の壊死体積は70℃エタノール注入後のそれと同程度で,20%酢酸100℃注入後の壊死体積は,70℃エタノール注入後のそれよりも有意に大きな壊死体積が観察された.
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