研究課題/領域番号 |
09670955
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
前原 忠行 順天堂大学, 医学部, 教授 (60010279)
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研究分担者 |
趙 成済 順天堂大学, 医学部, 助手 (60236833)
飯塚 有応 順天堂大学, 医学部, 講師 (10212713)
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キーワード | 拡散強調画像 / 視路 / 視覚系脳機能 / 拡散異方性 / MRI |
研究概要 |
本研究の目的は、眼の網膜から後頭葉の視覚皮質にいたる視覚の伝達路を拡散強調画像で同一断面上に描出し、視野・視力障害例での責任病巣の広がり・治療効果や予後の判定における臨床的有用性を評価することである。3年間の研究期間のうち初年度の平成9年度には、視路の平均的走行形態の検討と最適な拡散強調画像の撮像断面の決定を目的として、以下の研究を実施し一定の結論を得た。 1.はじめに、正常例を対象に脳機能MRIの手法を用いて視覚皮質の同定を行い、これをT1強調矢状断像に投影した。次に、剖検脳の髄鞘染色の解析から得られた視路有髄線維の分布を参考に、正常MRI矢状断像における視放線と視索とのなす角度の分析を行った。 2.これらのデータのコンピュータグラフィックスによる画像解析を行い、すべての視路を同一断面上に描出できる横断断面の撮像角度の設定を試みた。 3.以上の結果、視路は鳥距溝周囲に位置する視覚野から外側膝状体までの視放線と、外側膝状体から視交叉に至る視索とでは、ドイツ水平面(眼窩下縁と外耳孔上縁を結ぶ面)とのなす角度に差が有り、前者は平均7度、後者は平均マイナス15度を成すことが分かった。したがって、視覚の伝達路は外側膝状体付近で約22度の角度で屈曲している事になるが、幸いなことに、視放線は上下に幅の有る形態を有しているので視神経の領域さえ対象から除外すれば、ドイツ水平面にマイナス4度の角度で10mm程度のスライス厚を使用することにより視放線から視交叉までの視路を同一断面上に描出可能との結論を得た。 4.現状ではMRI装置の解像力の限界から拡散強調像による視路の描出には若干の困難が予想されるが、次年度には正常例を対象に今回の検討から得られた撮像角度を使用して、さらに傾斜磁場の印加方法などの改善を行い、理想的な撮像法の開発を試みる予定である。
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