研究概要 |
この実験ではアクチビA、ホリスタチン、アクチビンのI型レセプター(ActR-I,ActR-IB)、アクチビンのII型レセプター(ActR-II,ActR-IIB)に対する特異的抗体を用いて、骨折治癒過程における発現と局在を免疫組織学的に検討した。 【材料及び方法】生後14週から16週のwistar ratを用いて麻酔下に大腿骨に閉鎖的に骨折を作製した。骨折後3、7、14、28日目の大腿骨を10%中性緩衝ホルマリンにて固定後、EDTA脱灰、パラフィン包埋し、組織切片を作製した。切片に対して、H.E.染色およびアクチビA、ホリスタチン、ActR-I.ActR-IB.ActR-II.ActR-IIBに対する免疫染色を行った。免疫染色はABC法にて行い、発色はDABを用いた。 結果として、アクチビンは初期の増殖した膜性骨化部で微かに染色された。ステージが進むと新生骨でも染色され、TRAP染色陽性の多核の破骨細胞様の細胞で一部染色性が認められた。内軟骨性骨化部ではアクチビンはあまり染色性を認めなかった。ホリスタチンは初期の膜性骨化部では染色され、ステージが進んだ新生骨でも染色性が認められた。内軟骨性骨化部ではホリスタチンは軟骨細胞で中等度から強度に染色性を認めた。一方すべてのレセプターは初期の膜性骨化部で染色され、ステージが進むと新生骨でも染色性が認められた。内軟骨性骨化部ではすべてのレセプターが繊維芽細胞様の紡錘形の細胞および軟骨細胞で染色性が認められ、ステージが進むとそれらの染色性は低下していった。本実験より、骨折治癒過程においてアクチピンとそのレセプターは膜性骨化部で発現していることより、アクチビンがアクチビンレセプターを介して骨折治癒の膜性骨化部に作用していると考えられた。骨折治癒過程においてアクチビン、ホリスタチン、アクチビンレセプターが発現していることより、アクチビン-ホリスタチンシステムがアクチビンA以外の他のリガンドとともにアクチビンレセプターを介し骨・軟骨形成および骨改変に作用していると考えられた。
|