ニューロパシックペインの痛覚過敏の末梢機構を解明するため、皮膚・神経剥離in vitro標本から痛覚線維の単一神経放電を記録し、受容野への熱、化学(プラジキニン)刺激を与えたときに誘発される放電を、正常動物と病態モデル動物で比較し、ノルアドレナリン投与の影響を観察した。病態モデルは結核死菌から得た完全アジュバントをラットの尾部に、1回投与することにより作製した慢性炎症ラットを用いた。受容野への熱刺激と薬物刺激は受容野を囲むようにおいた小リング内でおこなった。熱刺激では温度制御式の熱源を受容野に向けて与え、薬物刺激はpush-pull式の環流法で与えた。 1、健常動物および病態動物の受容野への熱刺激(48度までのランプ状刺激)、ブラジキニン(1〜10uM)刺激によって痛覚線維(ポリモーダル受容器)は明らかな反応を示した。両者の反応に明らかな違いは見られなかった。 2、受容野へのノルアドレナリンの局所環流は健常動物の熱反応を抑制し、ブラジキニン反応を増強した。この効果はノルアドレナリン環流後少なくとも20分間続いた。ブラジキニン反応に対する効果はカテコラミンα2受容体抑制剤投与により抑制傾向を示した。 3、病態動物の熱反応はノルアドレナリンの前投与でも抑制される程度は低く、健常動物のそれと異なっていた。
|