研究概要 |
修復象牙質の形成時に発現している遺伝子を同定する目的に実験を行い以下の成果を得た。 Wisty系ラット(6週齢雄)の上顎第一臼歯近心頬側咬頭に窩洞を形成した。窩洞形成1週間後の冠部歯髄(target)と同ラットの反対側上顎第一臼歯歯冠歯髄を対照の組織(driver)からmRNAを各々回収した。Targetとした組織を含む歯の歯冠歯髄からmRNAを回収し逆転写したところ,(-)鎖cDNAをおよそ20μgの回収した。しかしながら,形成した窩洞に近接し刺激を受けると思われる歯髄細胞は歯髄は歯冠歯髄のわずかな部分であるので,少量のtotal RNAであってもsubtractive hybridizationが可能になるような方法で行なった。2回のsubtractionを行ったtargetの(+)鎖cDNAをPCRで増幅し,特徴的遺伝子をcDNA断片として数個検出した。これらcDNA断片のクローニングとシークエンスを行い,特徴的遺伝子をスクリーニングすることに成功した。また,同一のcDNAを鋳型として用いてもPCRの反応条件を変えることにより,異なる遺伝子を検出できるようになった。従って,subtractive hybridizationとPCRを組み合わせた本法は,数多くの特徴的遺伝子を迅速かつ高感度にスクリーニングすることができる点で優れることがわかった。
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