本研究は幼児の食生活習慣の変化に伴い、楽して摂食のできる(噛まなくても食べられる)又は、成長期にあることを重視した保健的探求を施している。つまり、流し食(汁かけご飯等)、かめない子・のめない子の諸要因分析、検討を行っているものである。既に小児の咀嚼・咬合力の減弱傾向は明らかである。特に3歳児には気になる食事状況要因(口に残る・口から出す・時間がかかる・丸のみ)と咬合力の大きさ(値)の相関および気になる食事状況間の関連性のあることが確かである。此の度は対象(有効対象1044件78.5%)の増加と食事状況周辺関係項目(要因変数)の増加により分析検討を施した。 幼児の食生活背景変数には哺乳経過、汁かけご飯、気になる食事状況要因、食欲、摂食要時間、テレビ見ながら摂食、歯列、屋外遊び等を親の主観的観察からのチェックを素にスケール化して、その成因・誘因の諸条件との関連性を統計的にコンピュータ処理を行い、より明らかに究明している。結果、3歳児には気になる食事状況要因に「口に残る・口から出す・時間がかかる・丸のみ・口に溜まる」の変数に、食事状況周辺要因変数として「流し食・腹すき・疲れる・テレビ食・外遊び・歯列・性別」を加え相関をみた。それには、気になる食事状況要因変数が主要因であり、つまり、「食物が口に残ると口に溜まり、口から出す又は丸のみし、それには時間がかかり疲れてしまう。外因にはテレビを見て休む。また、外遊びをして腹をすかせ、早く流し食をしてテレビを見る」等の繋がりの深さが一応誘因として明らかにされた。5歳児には3歳児同様に気になる食事状況要因間に相関を認めた。5歳児と3歳児の違いには、前者は「歯列、楽食、疲れる」に、後者は「性別」に相関を認めた。 幼児被験者(80件、3〜6歳児)の咬合力値の実態ではデンタルプレスケールを使用して、オクルーザー(咬合圧測定システム)で測定した。各幼児被験者は咬頭嵌合位の姿勢で3回測定し平均値で検討した。咬合力の「よい・わるい」は親の主観的観察から判定して区分し、3歳児の「よい」は約261.0N(Nニュートン)「わるい」は約186.0N、全児では「よい」は約286.4N、「わるい」は約263.4Nであった。既に、先行結果では、3歳児は「流し食、気になる食事状」と咬合力値との相関が認められた。平成10年度には咬合力値と、気になる食事状況、その他周辺要因変数との関連性、保健行動指導視点や先進国との対比の検討を施す予定である。
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