戦後の食生活改善はめざましく、今や軟食化を招き、幼児の成長に異変とも見える現象が歯科保健的視点から呼ばれている。 咀嚼・咬合力の減弱傾向が示されてから久しく、その要因分析および関連性について解明することを目的に研究を継続した。 今回は要素(変数)を増加し、幼児の日常食生活習慣から気になる摂食状況および咬合圧測定値との関連性を検討した。 結果、要因分析から直接的咀嚼機能因子(口に残る、口に溜まる、口から出す、時間がかかる、疲れる)食事周辺環境因子(流し食、丸のみ、歯列矯正、外的条件として:腹すき、楽食)成育過程因子(栄養哺乳方法、乳歯萌出、離乳食開始)の3因子に集約され、これらが幼児各期に影響を及ぼしていることが示唆された。 特に、食生活習慣の大半は平常であるが、現代社会の余波にテレビ鑑賞の影響、ディナー食の1人食事等の家庭状況また、摂食前提条件である空腹感、楽しく食べることの無体験児の存在が浮上した。 咬合圧測定値と3因子の関連性では4歳は「口に残る」、5歳児は「乳歯萌出」に関連性の高いことが証に示唆された。乳歯萌出との関連はその後の摂食に大きな影響を示し、直房哺乳が咀嚼に必要な筋肉のトレイニングであることが証である。 口から出すとの関係は噛む圧力との関係であり、固形物が噛めないことは咀嚼もできないに繋がると云える。 また、東京近郊に位置する両毛地区は、幼児の成育環境空間では適応しているものの摂食環境では都会化と贅沢が一際目立ち、市町村各地域差は見られい。むしろ、東京児には空腹感、楽しく食べる、は残存した。今後の課題には健やかな咬合力を備える子どもの口腔保健活動の一試案に、「噛み噛み運動」を付記した。この実証的研究は重要で意義深い問題として取り組んで行く。
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