資料収集、その分析・検討、論文の執筆などをすべて小松ひとりで行った。 資料は、本年度もひき続き、産婆術・産婦人科学・外科学・解剖学方面の一次資料(15世紀後半以降の刊本のマイクロフィルム)や研究文献を収集した。一次資料は米国のNLMや英国のWellcome Institute Libraryから購入した。取り寄せたマイクロフィルムをprint out してくれる補佐者は今年度も見つからなかったので、製本まで済んだ形になった資料はそう多くはなかった。 このところ筆者は、ヨーロッパにおいて、男性医師による産婦人科学が成立してくる15・16世紀に研究を集中している。その成果の報告としては、1999年5月下旬の拓殖大学での日本科学史学会年会で、口頭発表による報告「帝王切開術と16世紀産婦人科学の成立-ボーアンはなぜルセを支持したのか-」をおこなった。また、論文「帝王切開術と産婆世界への男性外科医の侵入」は『科学医学資料研究』(月刊)の1999年8月号と9月号に掲載された。
|