研究課題/領域番号 |
09680340
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
國枝 義敏 和歌山大学, システム工学部, 教授 (90153311)
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研究分担者 |
笹倉 万里子 岡山大学, 工学部・情報工学科, 助手 (30284087)
上原 哲太郎 和歌山大学, システム情報学センター, 講師 (20273485)
城 和貴 和歌山大学, システム工学部, 講師 (90283928)
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キーワード | 並列化 / 最適化 / コンパイラ / ベクトル化 / 依存関係解析 / ユーザ支援 / タスクグラフ / 粒度 |
研究概要 |
本年度は、まず交付申請書の研究計画に記した具体的な項目にある、対象計算機のアーキテクチャの特徴、ならびに、応用プログラムの計算パターン/データ参照パターンの特徴を調査した。これに関して得られた知見を以下に簡単にまとめる。 エンドユーザが現状で利用可能な並列計算機を利用し、現在までに成功したと思われる実規模数値処理プログラムの並列計算は、(1)量子色力学QCD、(2)量子化学(分子軌道法)、(3)数値流体力学CFD、(4)資源探査(Oil reservoir,地震波解析)など限られたものしかない。これらは、元来高い並列度を有する問題で、しかも、プログラムの全ライフに渡り、高い並列度が特続する。すなわち、元々独立な数多くのジョブの集まりであるものである。逆に、こういうタイプに属さない一般の数値処理では、並列性を単純には引き出せない。特に、並列計算機のアーキテクチャに精通しないエンドユーザには、到底並列化は不可能か、または、膨大な労力を要するために、ほとんどあきらめられている状態であると結論できる。 この知見は、本研究が目的とする強力な自動並列化技術の確立が急務であることを実証するものである。 さらに、平成9年度においては、チューニング作業を支援するための、可視化システムを主に研究開発してきた。このシステムは、本研究の自動並列化チューニング支援システムの主要なサブシステムとなるものである。 このサブシステムでは、並列計算機のアーキテクチャなどを熟知していない一般利用者でもチューニング作業の中で、並列化可能部分とどの程度並列化されたかを、三次元で、グラフィカルに表示することにより、適用された並列化手法の有効性、並列化を阻害している要因などを、容易に推定できることを目的とする。 本サブシステムは、現在ほぼ完成し、評価段階にある。このシステムで算出している並列度などの指標は、並列化チューニング作業の重要な指針として利用可能であることが、確認できた。今後は、これらの指標を親システムにフィードバックさせ、可能な限りチューニング作業を自動化させる方式を研究開発していく方針である。さらに、本サブシステムとしても、さらに機能面、ユーザインタフェースの改良などユーザ支援システムとしての完成度を高めていく予定である。
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