研究概要 |
わらべ歌を含む遊び歌は、昔日から一つの遊びの道具として母親や祖父母が子育てに活用し、子どももまた遊んできた歴史的経緯がありながら、その伝承は年々衰退しているといわれている。乳幼児期において、遊び歌のような音楽的な遊びの経験は、母子の絆を深めるとともに、乳幼児の言語、情緒、社会性などの面における発達を促すのではないかと考え、現代社会における歌遊びの実態を調査し、今後の家庭教育及び音楽教育に組織的に歌遊びを導入するために必要な基礎資料を収集することを目的として本研究を実施した。 平成9年度は、以下にあげる2点の研究を行った。 1,1、2歳児をもつ母親30名に、歌遊びに関する意識と経験、および日常生活における歌遊びの実態とを把握することを目的とする面接調査を実施した。その結果、多くの母親が遊び歌に対して肯定的なイメージを持ち、子育てに遊び歌を積極的に利用しようとしていた。しかし、実際の生活では、日々の日常生活の忙しさもあり、時間的な余裕があるときにときどき遊んでいる場合が多い。「げんこつ山のたぬきさん」「いないいないばあ」等のある決まった伝承的な手遊びや顔遊びが特によく遊ばれている。子どもたちは、遊び歌で遊ぶことを喜んで受け入れ、一方母親も、遊び歌を子どもと楽しむことによって、母親自身が精神的な安らぎや子育ての充実感や幸福感を得ていることも明らかになった。 今後、これらの面接調査の結果をもとに、対象者を増やしての質問紙調査を予定している。 2,2カ所の保健センターにおいて、ビデオ撮影と参与観察によって、1,2歳児を中心とした母子の音楽的な遊びの場面の定期的な観察・調査を行っている。(現在、継続中)
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