日本において長い伝統を有し、多方面に影響を与えている漢文訓読語法に焦点をあて、それと比較しつつ、蘭学資料の中に用いられた語法を調査することにより、翻訳語法及び欧文直訳体の形成過程とその特徴を解明していくことがこの研究の目的である。このため、本年度は、以下の1〜3のような調査・研究を行った。 1.漢文訓読資料及び蘭学資料関係書籍を購入、マイクロフィルムの形で出版されているものはそれを購入し、焼き付け、また、東京大学付属図書館を訪ね、そこに所蔵されている江戸時代の漢文訓読資料・蘭学資料を調査した。 2.オランダ・ライデン大学日本学韓国学センターにおいて、研究者(齋藤)がこれまでに行ってきた研究、および今回の研究の内容を説明し、今後の研究遂行上のアドバイスを受けた。また、同センター図書室およびライデン大学図書館所蔵の蘭学資料とその原本の調査を行い、当時日本語に翻訳された原本がオランダにおいてどのような価値を有していたのかについてのレビューを受けた。 3.以上1において収集した資料は、漢文訓読語法を中心に整理し、翻訳語法及び欧文直訳体の形成過程を解明していく上での基礎資料を作成した。 なお、平成10年度には、パーソナルコンピュータを使用して、本年度調査した資料及び語法のデータベースを作成する予定である。
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