本研究においては、「画像や文書を含むデータベースから様々な観点を抽出し、それらに基づいてデータベースを構造化する手法」の開発を目的として、 1. 複数の観点に基づく情報の分類構造の学習手法の開発 2. 多様な観点から画像の類似性を評価する画像検索システムの開発 を行なった。 複数の観点に基づく情報の分類構造の学習手法の開発においては、まず、複数の属性を有するデータ集合を様々な観点から分類するアルゴリズムを開発した。さらに、実データ(人工知能分野において学習アルゴリズムの評価によく用いられるベンチマークテスト用データベース)を用いて本アルゴリズムの評価実験を実施し、複数の観点を利用して概念学習を行なうことが、良い分類構造の学習、すなわち、未知のデータを受けとった時にそのデータの性質を適切に予測することが可能な分類構造の学習に寄与することを確認した。 多様な観点から画像の類似性を評価する画像検索システムの開発においては、人間が画像の類似性を評価する際に画像における色の空間的な分布を考慮しているのではないかという仮定に基づき、画像を複数の長方形領域に分割することによって色の空間分布を画像の構図として抽出するアルゴリズムを開発した。そして、抽出した構図を利用することによって、色が類似しているだけでなく、中央にオブジェクトが存在するなどといった観点からも類似画像の検索が可能な画像検索システムを構築した。また、実験により、構築した画像検索システムが、従来の構図を考慮しない検索システムと比較して、画像の一部分の領域での色の分布が類似しているなどといった多様な観点から、画像の検索を行えることを確認した。
|