研究概要 |
今日の学校は,さまざまな教育問題や社会的問題を抱え込んだ場となっている。学校や教室,授業の未来像が見えないままに,当面の問題の解決を迫られている状態である。このような中では,どういう具体的改革をすべきかという化学的研究が求められる。 本研究は,そのためにまず従来の統計学的方法論よりも,より教育の現実を直視できる方法論としてエスノメソドロジーを取り上げた。これは,従来の解釈学的方法をより,より明確にしたものであり,近年時に注目されている。この方法論では,「日常知」を究明することが目的となる。 本研究では,学校や教室の中での日常知を学校知と呼ぶことにした。つまり,学校の中で常識と見なされている知識で,しかも児童・生徒にとって自然な学習になって「いない」ような知識である。特に数学教育を中心に考察する。 本年度は,3年間の研究の初年として,次のような研究を中心に行った。 ・エスノメソドロジーそのもの考察 ・文献・資料の収集 ・小学校・中学校における算数・数学の授業観察と記録・分析 エスノメソドロジーそのものについては,最近はわが国でも文献が出ており,数学教育においても論文が見られるようになった。文献や資料は数学教育に関する研究論文や授業記録や実践報告などである。現在は大きな教育改革や新しい教育課程の基準の改善が議論されているときであり,重要な資料や情報を得ることができた。また,授業観察や授業記録については,なるべく一般的な算数・数学の授業を観察・記録することができた。そして,今日の教室の現実を分析することができた。
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