本研究ではナタマメ属植物のハマナタマメとタカナタマメの交雑集団におけるアリとの共生関係の変化を明らかにすることを目的として行っている。 マイクロサテライトマーカーの開発 ハマナタマメとタカナタマメの交雑集団の遺伝的構造を解析するために必要となる、マイクロサテライト遺伝子マーカーの開発を行った。マグネットビーズ濃縮法とコンパウンドマイクロサテライトプライマーを使用し、9つのマイクロサテライト遺伝子座を増幅するプライマーセットを開発した。開発したマイクロサテライト遺伝子座について、石垣島のタカナタマメ16個体、宮崎日南のハマナタマメ30個体の遺伝子型の決定を行った。9遺伝子座の平均対立遺伝子数はタカナタマメで9.2、ハマナタマメで5.4であった。平均のヘテロ接合体の期待値はタカナタマメで0.762、ハマナタマメで0.605であった。2つの遺伝子座(cana10とcanaGT6)で連鎖不平衡が検出されたが、それ以外の遺伝子座は独立していることが明らかになった。開発した遺伝子マーカーは両種の種間雑種の解析に有用であると考えられる。現在、対立遺伝子数が多くフラグメント泳動イメージが鮮明な6つの遺伝子座について37集団508個体の遺伝子型の決定を行っている。 形態の解析 上記の集団について、花17形質、葉7形質、果実8形質について形態の測定を行った。さらに種子については形態以外に比重の測定も行った。今後、計測したデータについて多変量解析を行い、遺伝的解析と合わせて2種の交雑現象の解明を行う予定である。
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