研究分担者 |
伊藤 太一 筑波大学, 農林工学系, 助教授 (40175203)
安仁屋 政武 筑波大学, 地球科学系, 教授 (10111361)
立入 郁 筑波大学, 歴史・人類学系, 特別研究員(PD)
湖中 真哉 静岡県立大学, 国際関係学部, 助手 (30275101)
太田 至 京都大学, 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (60191938)
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研究概要 |
1.社会文化系の研究成果:佐藤とワンディバ,そして研究協力者の孫が,レンディーレの集落に住み込んでインテンシブな継続調査を行った。佐藤と孫は,レンディーレの遊牧生態を明らかにするために畜群の遊動を追跡調査してた。その結果,レンディーレの町場近郊への定着化が進行していること,牧人不足を補う新たな放牧技術が工夫されたこと,定着化のインフラ整備として井戸の掘削開発が自力で開始されたこと,現金経済の浸透に伴って店屋商人との信用取引が強化されていること,などが実証的に裏付けられた。一方,開拓農村におけるミルク販売が,女性の自活手段として重要であること,その販売システムが牧村,町場近郊村,町場の三つのセクターを複合させたものであること,などが実証的に明らかにされた。 太田と曽我は,それぞれトゥルカナとガブラの遊牧社会を調査し,前者では隣国からの難民流入後者では南部エチオピアにおけるオロモ系の民族運動というかたちで激発する民族間紛争に巻き込まれる在地の遊牧民の動きを明らかにした。 2.土地利用の処置:ケニアの遊牧圏には国立公園や動物保護区が多く設定されている。従来は,野生動物の保護を主目的にして一定地域を排他的に囲い込むことが行われていたが,近年は,家畜や牧民の利用を許しつつ,保護区を管理するという,住民重視の政策がとられるようになってきた。その結果,有害動物の移送,フェンスの設置,在地住民の生活基盤の整備などが実施されている。 3.遊牧生態のGIS解析:1987年8月〜1988年8月にケニア国畜産省らによって取られたレンディーレのラクダキャンプの移動と植生量分布の関連性を,NOAA/AVHRRの補正後,衛星画像を用いて調べた結果,マルサビッツ山の北西部は雨季と乾季の植生量の差が大きくて,この地域に雨季のみラクダキャンプが設置されていたこと,レンディーレランド中央部の低地は,雨季・乾季の植生量の差がさほど大きくなく,この地域にいくつかの大きな井戸があるために,乾季の遊動がおこなわれていたことなどが判明した。
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