研究課題/領域番号 |
10041031
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
スチュアート ヘンリ 昭和女子大学, 文学部, 教授 (50187788)
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研究分担者 |
大村 敬一 大阪大学, 言語文化部, 講師 (40261250)
岸上 伸啓 国立民族学博物館, 先端民族学研究部, 文部教官助教授 (60214772)
青柳 清孝 京都文教大学, 人間学部, 教授 (90052224)
加藤 普章 大東文化大学, 法学部, 教授 (90194844)
梶田 孝道 一橋大学, 社会学部, 教授 (10133357)
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キーワード | イヌイト / 教育 / 先住民族 / 植民地主義 / マイノリティ / 文化運動 / 都市化 |
研究概要 |
今年度の調査は、昨年度に引き続きカナダおよびアメリカ合衆国の先住民をめぐる教育状況、イヌイト女性の政治参加の現状、そしてケベック州および連邦政府が実施している対先住民政策を調べた。 教育に関する調査では、「社会科教科書における先住民族記述が充実するにつれ、攻策が展開して、確立していく」という仮説を当初立てたが、その仮説に反して、政策が先行していることが明らかになった。つまり、政策が実施するに伴って、社会科の教科書のんあいようが検討され、政策に添うようなかたちで先住民に関する記述に改められることである。 ケベック州が実施している先住民制作に関して、猟師援助プログラムの実施はハンターがいない世帯にとっては、社会・経済効果があることがわかった。その一方で、無職の青年や中年の一部がプログラムに依存しすぎており、狩猟・漁労に従事しなくなってきていることがわかった。ケベック州アクリビク村の青年および中年男性の行動や考え方を把握するために、10歳代後半から40歳代半ばまでの男性19名を対象にインタビュー調査を行った。インタビューの内容は世帯構成、職業、収入、狩猟・漁労道具の所有状況、生業活動の状況、食生活、食物分配、猟師援助プログラムとの関係などに関してであった。 女性に関する調査では、現在50代〜60代、30代後半〜40代、20代〜30代前半という3つの世代の女性たちに注目したが、夫婦関係、親子関係、仕事に関する価値観などに明確な差が認められた。ライフヒストリーを中心に聞き取りを行なった結果、彼女らの現在にみられる差異は、経験の差によるものであり、急激な変化を経験してきたこの地域において、ジェンダー関係は、交易、学校教育などの影響が強く、ポストコロニアル的状況を反映したものといえる。
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